「子猫に無添加フードを」と言われる理由は、子猫の内臓が弱いからではありません。
猫という種が、生まれつき持っていない解毒の経路があること。
そして子猫が、体重1kgあたりで成猫より多く食べること。
この2つが理由です。
そしてもうひとつ、先に書いておきたいことがあります。
「無添加」という言葉には、日本のペットフードの表示制度に定義がありません。
それどころか、レトルトや缶詰で「保存料不使用」を強調することは、規約上できません。
この記事は、その条文そのものを読みにいきます。
扱うのは3つです。
猫という種の代謝、子猫という段階の摂取構造、そして日本と欧州の制度。
いずれも一次資料の原文にあたり、書いてあることと書いていないことを分けて渡します。
先に結論だけ知りたい方は 結論のセクション へ。
「無添加」という語の法的な位置づけを知りたい方は 言葉の意味のセクション へ進んでください。
結論:効いているのは「臓器の未熟さ」ではなく「体重あたりで多く食べる」構造
「種の話」と「段階の話」を分けると、話が整理される
子猫と添加物をめぐる説明は、2つの別々の話が混ざったまま語られがちです。
ひとつは猫という種の話。もうひとつは子猫という段階の話です。
この2つを分けると、何が確かで何が確かでないかがはっきりします。
種の話は、はっきりしています。
猫は、フェノール系の化合物をグルクロン酸で包んで捨てる経路を欠いています。
これは子猫でも成猫でも同じで、生まれつきのものです。
詳しくは 猫が持っていない経路 で扱います。
段階の話は、意外な結論になります。
「子猫は肝臓が未熟だから添加物に弱い」という説明は、猫では確かめられていません。
代わりに実験で確認されているのは、子猫が体重あたりで多く食べるという構造のほうです。
子猫は、体の大きさに対して成猫のおよそ2倍を食べる
健康な子猫の1日のエネルギー要求は、安静時に必要な量のおよそ2.5倍とされています。
避妊去勢済みの成猫では1.2倍、未避妊去勢の成猫でも1.4倍です(出典: Nutritional Requirements of Small Animals|MSD Veterinary Manual)。
つまり体の大きさに対して、子猫は成猫のおよそ2倍を食べます。
同じフードを食べていても、体重1kgあたりに入ってくる量が違うということです。
この記事では、量そのものの計算には踏み込みません。
実際に与える量は、パッケージの給与量表示とかかりつけの獣医師の指示を優先してください。
なお、この「成長期」がいつ終わるのかにも目安があります。
猫は生後10〜12か月で成猫として成熟し、生後30週で成猫サイズの約80%に達します(出典: Feeding Growing Kittens|VCA Animal Hospitals)。
先に線を引いておく — この記事は「添加物が害になる」とは言わない
この記事は、添加物が子猫の健康を害すると主張するものではありません。
日本の省令は物質ごとに含有量の上限を定めています。
基準内での使用が害になるという根拠を、今回参照した資料からは確認できませんでした。
この記事の主語は、最初から最後まで法令・評価書・論文に置きます。
「どこのメーカーが危ない」という話は一切しません。
できるのは、どんな条文と数値が実在するかを並べて、判断を読者に渡すことだけです。
扱わないことも書いておきます。
ラベルの読み方の手順、1日に与える量の計算、魚という素材に固有のリスク。
これらは別の話題なので、この記事では扱いません。
このうち魚という素材に固有のリスクは、子猫に魚はいつから?月齢より大事な3つの条件で扱っています。
猫は、フェノールを処理する経路をひとつ持っていない
UGT1A6は、猫では「壊れた遺伝子」になっている
体に入ってきた異物を捨てるとき、動物はいくつかの決まった方法を使います。
そのひとつがグルクロン酸抱合です。
異物にグルクロン酸をくっつけて水に溶けやすくし、尿や胆汁へ流す仕組みです。
この反応を担う酵素の一群をUGT(UDP-グルクロン酸転移酵素)と呼びます。
猫は、このうちUGT1A6とUGT1A9を欠いています(出典: Court MH. Feline drug metabolism and disposition|Vet Clin North Am Small Anim Pract 2013)。
欠けているのは活性だけではありません。
猫のUGT1A6は擬似遺伝子(pseudogene)になっています。
一度は機能していた遺伝子が、この種で恒久的に無効化された状態です。
規模で見ると差はさらにはっきりします。
猫の肝臓で発現するUGT1Aは、UGT1A1とUGT1A2の2種類だけです。
犬は最大10種類、ヒトは9種類を持っています。
猫のUGT1A遺伝子座は約40キロベースで、犬の約130キロベースより小さいことも報告されています。
そして、この欠損は何にでも効くわけではありません。
原著は「この欠陥は主に単純な平面フェノール構造をもつ化合物に影響する」と述べています。
これは後で出てくるBHAの話に、そのままつながります。
薬の消え方で見ると、どれくらい違うのか
この差は、薬の消え方の数値としてはっきり測られています。
同じ論文の比較表から、代表的な3つを並べます。
| 指標 | 猫 | 犬 | ヒト |
|---|---|---|---|
| アセトアミノフェン 半減期 | 5.0時間 | 1.1時間 | 2.6時間 |
| アセトアミノフェン クリアランス(mL/min/kg) | 2.9 | 13 | 5 |
| アセチルサリチル酸 半減期 | 22時間 | 4.5時間 | 2.3時間 |
| プロポフォール 半減期 | 8.8時間 | 2.4時間 | 1.9時間 |
アセトアミノフェンで見ると、猫は犬の4倍以上の時間をかけて処理しています。
クリアランス(体から取り除く速さ)は犬の4分の1以下です。
アセチルサリチル酸では、半減期が犬の約5倍、ヒトの約10倍になります。
ここで必ず断っておきます。これは「薬」の数値です。
フードに使われる添加物のすべてに、同じことが起きるという意味ではありません。
物質の構造ごとに、通る経路も速さも変わります。
この表が示しているのは「猫という種には処理の遅い経路がある」という一点だけです。
1,100万〜3,500万年前、肉食に振り切ったときに失われた
この欠損はいつ生じたのでしょうか。
系統解析によれば、最初のUGT1A6の変異は1,100万年前から3,500万年前の間に起きています。
ネコ科が他の食肉目から分岐・分離した時期にあたります(出典: Shrestha B et al. Evolution of a major drug metabolizing enzyme defect in the domestic cat and other felidae|PLoS One 2011)。
同じ変異は、飼い猫だけのものではありません。
ライオン、トラ、ヒョウ、ユキヒョウ、ジャガー、チーター、ボブキャット、ピューマ。
ネコ科の非家畜種17種で同じ変異が確認されています。
一方で、オオカミ、フェレット、クマ、アライグマには及んでいません。
つまり「肉食動物だから」ではなく、ネコ科の系統に固有の出来事です。
研究者は、この背景にネコ科の超肉食性(hypercarnivory)の役割があるとしています。
植物由来のフェノール化合物に触れる機会が減った系統で、その処理装置が失われた。
そういう筋書きが提示されています。
ただし原著は、具体的な生物学的メカニズムまでは述べていません。
欠けているのはグルクロン酸抱合だけではない
猫が欠いている経路は、ひとつではありません。
同じ総説は、次の3つも挙げています。
- N-アセチル化(NAT2)の欠損 — 猫はNAT2を持ちません。NAT1は発現しますが活性が低いとされます
- S-メチル化(TPMT)の低活性 — 猫の赤血球でのTPMT活性は他種より低いと報告されています
- グリシン抱合の欠損 — 猫はサリチル酸をグリシンと結合させる経路を欠いています
グリシン抱合の差は、数字でも出ています。
尿に排泄されるグリシン抱合体は、猫ではおよそ5%にとどまります。
ヒトでは69%です。
そして、フードの話にもう一歩近づく記述があります。
保存料として使われる安息香酸のグリシン抱合も、猫では「比較的遅い」とされています。
これは薬ではなく、食品や飼料でも使われる物質の話です。
ここまでが「猫という種」の話です。
子猫にも成猫にも等しく当てはまります。
では、子猫だけに当てはまることはあるのでしょうか。
「子猫は肝臓が未熟だから」は、猫では確かめられていない
新生子の肝臓で未完成とされているもの
まず、裏づけのある一般論から確認します。
小動物の新生子医学の教科書は、胎子の肝臓について次のように書いています(出典: Center SA, Richter KP. The Liver, Biliary Tract, and Exocrine Pancreas|Small Animal Pediatrics ch.37)。
"The fetal liver has reduced capabilities for gluconeogenesis, glycogenolysis, bile acid metabolism, and other biotransformation, detoxification, and elimination processes."
(訳)胎子の肝臓は、糖新生・グリコーゲン分解・胆汁酸代謝、およびその他の生体内変換・解毒・排泄の過程について、能力が低下している。
ここまでは「新生子の肝臓は未完成である」という一般論です。
犬でも猫でも通用する話として書かれています。
問題は、そこから先です。
犬では28〜42日で成熟する。猫では、同じことが調査されていない
犬については、具体的な数字があります。
同じ教科書は次のように書いています。
"neonatal puppies have UDP-glucuronyl transferase activity (enzyme essential for bilirubin catabolism) lower than adult dogs. Activity of this enzyme matures within 28 to 42 days of age."
(訳)新生子の子犬は、ビリルビン異化に不可欠なUDP-グルクロニル転移酵素の活性が成犬より低い。この酵素の活性は生後28〜42日で成熟する。
「生後1か月ほどで大人並みになる」という、はっきりした記述です。
日本語の記事で「子犬・子猫は肝臓が未熟」と説明されるとき、根拠はたいていここにあります。
ただし、これは犬のデータです。
では猫はどうか。同じ教科書が、続けてこう書いています。
"The capacity of the liver in the fetal, neonatal, and juvenile cat has not been similarly investigated."
(訳)胎子・新生子・若齢の猫の肝臓の能力については、同様には調査されていない。
これは「未熟ではない」という意味ではありません。
「調べられていないので、分からない」という意味です。
そして、この2つはまったく別のことです。
「子猫は肝臓が未熟だから添加物に弱い」という説明は、よく見かけます。
しかしその根拠になりうる猫のデータは、この教科書には存在しません。
犬のデータを猫に当てはめた説明である可能性が高い、ということになります。
実測データが示すのは「全般に未熟」ではない
では、猫について測られている数値は何を示しているでしょうか。
同じ教科書の血清化学検査値の表から、2つ取り出します。
| 時期 | 子猫の総ビリルビン(mg/dL) | 血清総胆汁酸(µM/L) |
|---|---|---|
| 生後1〜3日 | 0.1 – 1.1 | <10 |
| 生後1週 | 0.1 – 1.6 | <10 |
| 生後2週 | 0.0 – 0.7 | <10 |
| 生後4週 | 0.0 – 0.2 | <10 |
| 生後8週 | 0.0 – 0.6 | <10 |
| 成猫の基準範囲 | 0.0 – 0.4 | 0 – 10 |
読み方を書きます。
総ビリルビンは、生後2週までは成猫より高めに出ることがあります。
しかし生後4週の時点で成猫の基準範囲に入ります。
血清総胆汁酸は、もっとはっきりしています。
生後1日齢の時点から、すでに成猫の基準範囲の中にあります。
原著も「1日齢および1・2・4週齢の子犬と子猫の値は成獣の基準範囲内である」と述べています。
つまり「子猫の肝臓は全般に未熟」という一括りの説明は、この2つの実測と整合しません。
肝機能の指標のうち少なくとも一部は、かなり早い段階で成猫並みです。
「未熟だから弱い」という物語は、猫については裏づけを持っていません。
腸内細菌叢は30〜42週かけて安定する。ただし添加物とは結びついていない
「腸内環境が未熟だから添加物を処理できない」という説明も、よく見かけます。
これも確認しました。
まず、腸内細菌叢の成熟時期については具体的なデータがあります(出典: Neonatal Gut Microbiota in Puppies and Kittens: From Maternal Transmission to Immune Development|Animals 2026)。
- 生後8〜16週 — 比較的安定していたと報告されている
- 生後18〜30週 — この時期になっても、なお変化が認められる
- 生後30〜42週 — ここでようやく安定した
腸内細菌叢が落ち着くまでに、おおよそ7〜10か月かかるということです。
離乳の前後には、組成が大きく変わることも示されています。
ここまでは事実です。
問題はその先です。
「腸内細菌叢が薬物や外来化学物質の代謝に関わっている」と述べた記述は、参照した資料の中に見つかりませんでした。
したがって「細菌叢が未熟だから添加物を処理できない」とは、この記事では書きません。
書けるだけの根拠がないからです。
同じ資料は、子猫の免疫についても厳しい時間の制約を示しています。
初乳から抗体を吸収できる窓は、生後12〜16時間に限られます。
透過性のピークは生後8〜12時間で、その後は腸が「閉鎖」します。
子猫にとって切実な時間の話は、添加物より先にここにあります。
関連して、子猫期の環境が成猫期の健康に影響するという考え方があります。
ヒトの分野で発達したDOHaD(健康と疾病の発生起源)という枠組みです。
この考え方をペットに広げようという議論は、確かに存在します。
ただし、その総説自身が限界をはっきり書いています(出典: Environmental risk factors in puppies and kittens for developing chronic disorders in adulthood: A call for research|Front Vet Sci 2022)。
犬や猫では、発達プログラミングの存在そのものがまだ十分に実証されていない、というのがその内容です。
猫を対象にした縦断研究や大規模な登録データは「極めて稀」とされています。
つまり、この分野はまだ仮説の段階にあります。
正直に書けば、ここが今回いちばん収穫の少なかった領域です。
子猫の体と添加物を直接つないだ研究は、ほとんど存在しませんでした。
ただしひとつだけ、まっすぐに答えている実験があります。
子猫で本当に違うのは摂取量 — それを実験で確かめた例がある
1992年、同じ設計で子猫21頭と成猫21頭を比べた
1992年に、ほぼ同じ設計の2つの実験が報告されています。
片方は子猫、もう片方は成猫が対象でした。
使われた物質はプロピレングリコール(PG)です。
子猫の実験では、21頭を7頭ずつ3群に分けています(出典: Elliott GA et al. Hematological alterations in kittens induced by 6 and 12% dietary propylene glycol|Vet Hum Toxicol 1992)。
食事中のPG濃度は0%・6%・12%の3水準。
給与期間は13週間です。
成猫の実験も、21頭・同じ3水準・同じ期間で行われています(出典: Bauer MC et al. Hematologic alterations in adult cats fed 6 or 12% propylene glycol|Am J Vet Res 1992)。
条件がそろっているので、子猫と成猫の差を数値で比較できます。
これは日本語の情報ではほとんど見かけない比較です。
結果を並べると、子猫のほうが影響が大きい
両群とも、2週間以内にハインツ小体の用量依存的な増加が認められました。
ハインツ小体とは、赤血球の中でヘモグロビンが変性して固まったものです。
そして赤血球の平均生存期間には、次の差が出ました。
| 食事中のPG濃度 | 成猫の赤血球平均生存期間 | 子猫の赤血球平均生存期間 |
|---|---|---|
| 6% | −30% | −44% |
| 12% | −55% | −63% |
どちらの濃度でも、子猫のほうが短縮の幅が大きくなっています。
6%では14ポイント、12%では8ポイントの差です。
ここまでなら「やはり子猫は弱い」と読めます。
著者の結論は「子猫の赤血球が弱いから」ではなかった
ところが、著者の結論はそうではありませんでした。
子猫の実験の抄録には、次のように書かれています。
"The greater effect in kittens may be due to greater PG intake and not to an inate susceptibility of kitten RBC to PG."
(訳)子猫でより大きな影響が出たのは、PGの摂取量が多かったためであり、子猫の赤血球がPGに対して生まれつき感受性が高いためではない可能性がある。
同じ濃度のフードでも、子猫のほうが体重あたりで多く食べます。
だから体に入るPGの絶対量が多くなる。
弱いのは体ではなく、置かれ方だというのが著者の読み方です。
この結論は、記事の前半とぴたりと合います。
猫の肝臓の欠損は、子猫でも成猫でも同じ。
子猫だけ違うのは、体重あたりの摂取量のほうでした。
同じ抄録には、もう1文あります。
子猫の血液に固有の事情を説明した部分です。
"Since kittens eat relatively more food/kg of body weight and must expand their blood volume in addition to replacing senescent RBC, the hematologic dyscrasia associated with consumption of PG-containing diets may be exaggerated."
(訳)子猫は体重1kgあたり相対的に多くのフードを食べ、老化した赤血球の置き換えに加えて血液量そのものを拡大しなければならない。そのためPG含有食の摂取に伴う血液異常が、より強く現れる可能性がある。
成猫の赤血球は、古くなったぶんを入れ替えれば足ります。
子猫はそれに加えて、体が大きくなるぶんの血液量を増やし続けています。
同じ作業をしながら、同時に生産を増やしている状態です。
この「入れ替えと増産の同時進行」が、成長期の子猫に固有の負荷です。
肝臓が未熟だからではありません。
成長そのものが、余力を使っているということです。
同じ理由で、授乳中の母猫も同じ側にいる
この構造は、子猫だけのものではありません。
1989年の報告は、リスクが高い猫を次のように名指ししています(出典: Christopher MM et al. Contribution of propylene glycol-induced Heinz body formation to anemia in cats|JAVMA 1989)。
"cats with greater food intake, ie, lactating queens and nursing kittens, are at greater risk"
(訳)摂取量がより多い猫、すなわち授乳中の母猫と哺乳中の子猫のほうが、リスクが高い。
授乳中の母猫は、子猫と同じくエネルギー要求が跳ね上がります。
そして両者とも「体重あたりで多く食べる側」に立ちます。
年齢ではなく、摂取量で線が引かれているということです。
この見方は、そのまま実務にもつながります。
気にすべきなのは「子猫かどうか」ではなく「たくさん食べる時期かどうか」。
成長期・授乳期・回復期は、いずれも同じ側にあります。
日本では、この物質は猫用フードに使えない — 省令が種を名指ししている
「プロピレングリコールは、猫用の販売用ペットフードには用いてはならない」
ここまで読んで、不安になった方がいるかもしれません。
先に安心できる事実を書きます。
日本では、プロピレングリコールを猫用ペットフードに使うことができません。
愛玩動物用飼料(ペットフード)の成分規格等に関する省令に、次の条文があります(出典: ペットフード安全法 基準規格等|環境省)。
「プロピレングリコールは、猫用の販売用ペットフードには用いてはならない。」
条文の原本は法令検索でも読めます(出典: 愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令|e-Gov法令検索)。
制度の全体像は農林水産省の解説にまとまっています(出典: ペットフードの安全確保|農林水産省)。
犬用には、この禁止規定がない
この条文でいちばん重要なのは、対象が限定されている点です。
禁止されているのは「猫用」だけで、犬用には同じ規定がありません。
日本の制度は、この物質について犬と猫を別の動物として扱っています。
これは偶然ではありません。
PGによるハインツ小体性の赤血球障害は、猫で繰り返し報告されてきました。
その積み重ねが、種を名指しした条文になっています。
「猫は小さい犬ではない」という言い方があります。
それが比喩ではなく、省令の条文として実在しているということです。
この記事で覚えて帰る価値がある事実は、たぶんここです。
だから、いま日本で売られている猫用フードでこの項目を探す必要はない
結論として、日本国内で販売される猫用ペットフードにPGは使えません。
原材料欄でこの名前を探す必要はありません。
不安をあおる材料としてこの物質の名前が出てきたときは、この条文を思い出してください。
同時に、この記事は「使っているメーカーがある」とは書きません。
現在の日本では使用できないのですから、そう書けば事実に反します。
主語を法令に置くとは、こういう意味です。
一方で、表示を見ても分からないことは残る
では、表示さえ見れば全部わかるのでしょうか。
そうではありません。
公正競争規約は、原材料名の書き方をこう定めています(出典: 公正競争規約に基づく必要表示事項及び表示制限について|ペットフード公正取引協議会)。
「添加物以外の原材料と添加物に分け、添加物以外の原材料を使用量の多い順に記載、次に添加物を記載する。」
つまり、使われている添加物は原則としてすべて名前が出ます。
甘味料・着色料・保存料・増粘安定剤・酸化防止剤・発色剤は、用途名も併記されます。
そこまでは読み取れます。
読み取れないのは量です。
成分として表示されるのは「たんぱく質、脂質、粗繊維、灰分、水分」の5つだけ。
これらを重量百分比で「以上」「以下」の形で示す、と規約は定めています。
添加物が何グラム入っているかは、パッケージには書かれていません。
基準値は「体重1kgあたり1日◯mg」で決められている
欧州の作り方 — 安全側の数字はこう組み立てられる
添加物の基準値は、どうやって決まるのでしょうか。
欧州食品安全機関(EFSA)のエトキシキンの評価が、手順をそのまま見せてくれます(出典: EFSA FEEDAP Panel. Safety and efficacy of a feed additive consisting of ethoxyquin for all animal species|EFSA Journal 2022)。
- ① 指標を選ぶ — マウスの肝臓に生じる微小水疱性の脂肪変性を指標にした
- ② 出発点を出す — 10%の反応に対応する用量の下限(BMDL10)は1.1 mg/kg体重/日
- ③ 安全余裕を掛ける — 不確実係数200で割る(うち2は亜慢性から慢性への外挿ぶん)
- ④ 健康基準値が出る — 0.006 mg/kg体重/日
ここで注目してほしいのは、単位です。
出発点も結論も、すべて「体重1kgあたり・1日あたり」で書かれています。
フード中の濃度ではありません。
つまり安全側の物差しは、最初から体重あたりで作られています。
そして子猫は、体重あたりで成猫のおよそ2倍を食べます。
物差しの単位と、子猫の摂取構造は、同じ土俵の上にあります。
この値は、エトキシキンそのものだけに適用されるのではありません。
変換産物(EQDM、EQI、DHEQ、代謝物A)を含めた合計に対して適用されます。
評価の枠組みは、それほど細かく設計されています。
日本の作り方 — フード中の濃度で書かれている
日本の省令は、これとは別の書き方をしています。
定めているのはフード中の濃度です。
| 物質 | 上限 | 犬猫の別 |
|---|---|---|
| エトキシキン・BHA・BHT | 合計150 μg/g 以下 | 犬用・猫用とも |
| エトキシキン(単独) | 75 μg/g 以下 | 犬用のみ。猫用に個別上限はない |
| 亜硝酸ナトリウム | 100 μg/g 以下 | 犬用・猫用とも |
| プロピレングリコール | 使用不可 | 猫用のみ禁止 |
興味深いのは、犬と猫で逆の方向に非対称になっている点です。
エトキシキンの個別上限は犬用にだけあります。
プロピレングリコールの禁止は猫用にだけあります。
日本の制度も、犬と猫を同じ動物として扱っていないということです。
ただし、その非対称の理由まで条文は説明していません。
読み取れるのは「別々に決められている」という事実だけです。
見落とされている計算ルール — 水分は一律10%に換算する
濃度で決めるとき、ひとつ問題が起きます。
ウェットフードは水分が7〜8割を占め、ドライフードは1割前後です。
同じ「1グラムあたり」で比べたら、水の多いほうが有利になってしまいます。
省令は、この点をきちんと処理しています。
「規定する成分の販売用ペットフードにおける含有量を算出するにあたっては、そのペットフードの水分含有量を10%に設定する。」
実際の水分量がいくつであっても、計算上は水分10%の状態に換算します。
ウェットもドライも、同じ土俵に乗せてから測るということです。
この一文を紹介している日本語の記事は、ほとんど見当たりませんでした。
線を引いておきます。
これは計算の仕方の話であって、ウェットとドライの優劣の話ではありません。
「水分が多いから薄まっている」も「凝縮されている」も、どちらも成り立ちません。
制度は最初から、その手品が使えないように作られています。
猫についてだけ「安全な濃度を決められなかった」と書かれた評価書がある
BHA — EFSAの2019年の結論
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)は、酸化防止剤として使われる物質です。
そしてフェノール構造を持っています。
この記事の前半で見た、猫が処理を苦手とする構造です。
EFSAは2019年、全動物種を対象にBHAの安全性を評価しました(出典: EFSA FEEDAP Panel. Safety of butylated hydroxy anisole (BHA) for all animal species|EFSA Journal 2019)。
その結論には、はっきりと猫だけが書き分けられていました。
"a weight of evidence of the limited data supports that 150 mg BHA/kg complete feed would be a safe dose for all animal species. However, a possible exception could be cat, with its known lower capacity for glucuronidation of phenolic compounds and for which no specific data were available"
(訳)限られたデータの重みづけからは、完全飼料1kgあたり150 mgのBHAが全動物種にとって安全な用量であると支持される。ただし猫は例外となりうる。フェノール化合物のグルクロン酸抱合能が低いことが知られており、また猫に固有のデータが得られていないためである。
理由として名指しされているのが、グルクロン酸抱合能の低さである点に注目してください。
この記事の2つ目のセクションで見た、あの欠損です。
遺伝子の話が、そのまま規制文書の中に出てきています。
その後、追加のデータが提出されました。
それでも結論は変わりませんでした。
"Consequently, the Panel reiterates that no safe concentration of BHA in complete feed for cats could be established."
(訳)したがってパネルは、猫用の完全飼料におけるBHAの安全な濃度を確立できなかったと、あらためて述べる。
エトキシキン — 犬には数字が出て、猫には出なかった
同じことが、エトキシキンでも起きています。
EFSAは2015年の意見で、犬について具体的な数値を示しました。
完全飼料1kgあたり11 mgが、潜在的に安全な上限とされています。
猫については、こうです。
"The FEEDAP Panel cannot conclude on safe concentrations for cats and other pets."
(訳)FEEDAPパネルは、猫およびその他の愛玩動物についての安全な濃度を結論づけることができない。
2022年の再評価でも、同じ扱いが繰り返されています。
「この結論は猫を除くすべての動物種と区分に外挿できる」という書き方です。
猫だけが、毎回そこから外れます。
2022年の評価では、不純物であるp-フェネチジンも論点になりました。
この不純物があるため、愛玩動物のような長期生存する動物については、いかなる配合レベルでも安全と結論できないとされています。
これは「有害だと決まった」という意味ではない
ここで、いちばん大事な線を引きます。
「安全な濃度を決められなかった」と「有害だと判断された」は、まったく別のことです。
EFSAが述べているのは前者だけです。
評価書が言っているのは、要するにこういうことです。
猫に固有のデータが足りない。
猫には処理が苦手な構造がある。
だから、この数値なら安全ですと言い切ることができない。
これは科学的判断の保留であって、危険性の宣告ではありません。
データが集まれば、安全側の数値が示される可能性もあります。
「結論できない」を「危ない」と読み替えるのは、評価書の誤読です。
実際、日本の省令は基準の範囲内でこれらの物質の使用を認めています。
そして基準内の使用が有害だという根拠を、今回の資料からは確認できませんでした。
この記事が渡せるのは、ここまでです。
どう判断するかは、飼い主それぞれの問題です。
「猫については保留になっている項目がある」という事実を持っておく。
そのうえで何を選ぶかは、この記事が決めることではありません。
「無添加」という言葉が、日本の表示制度で意味すること/しないこと
表示義務の中に「無添加」は入っていない
ここまで「無添加」という語を、意図的に使わずに書いてきました。
理由があります。
この語には、日本のペットフードの表示制度に定義がありません。
ペットフード安全法が容器に求めているのは、次の5項目です。
名称、原材料名、賞味期限、事業者の名称と住所、原産国名。
公正競争規約はさらに広く、必要表示事項を9項目定めています。
そのどちらにも、「無添加」という項目はありません。
定義もされていません。
つまり「無添加」はメーカーの自主的な表現だということになります。
さらに言えば、食品の世界のルールも使えません。
ペットフードは食品ではないため、食品表示法・JAS法・健康増進法は適用されません。
消費者庁の食品向けの「無添加」ガイドラインも、ここには及びません。
この「定義がない」という論点そのものについては、別の記事で詳しく整理しています。
あわせて読むなら 無添加キャットフードの落とし穴|総合ガイド をどうぞ。
定義が無い=何を書いてもよい、ではない
ここからが、この記事のいちばん書きにくい部分です。
法的な定義がないことは、自由に使ってよいという意味ではありません。
規約は、使い方のほうを制限しています。
ペットフード公正取引協議会は「表示によく見られるNG集」という文書を出しています。
そこに、次の項目があります(出典: 表示によく見られるNG集|ペットフード公正取引協議会)。
缶詰製品やレトルトパウチ製品での「保存料不使用」
「缶詰製品やレトルトパウチ製品には通常、保存料は使用されないので、通常使用されていないものについて『不使用』や『無添加』を強調することで、他社の製品よりも優れているかのように消費者に誤認を与える表示はできません。」
これは、かなり踏み込んだ内容です。
缶詰やレトルトパウチは、密封してから加熱するため保存料を必要としません。
もともと使わないものを「不使用」と強調するのは、優良誤認にあたるという判断です。
言い換えれば、こうなります。
ウェットフードの世界では、「保存料不使用」は差別化の材料になりません。
それは製法上あたりまえのことだからです。
規約には、ほかにも表示を縛る条文があります。
他社に関するもの、最上級表現に関するもの、そして優良誤認に関するものです。
「他事業者のペットフード製品に対し、あるいはその内容成分の一部に関し、科学的な根拠なく『安全ではない』『危ない』『病気になりやすい』『有害』など、一般消費者に著しく誤解を与えるような表現はしてはならない。」
「客観的な根拠がなく『特選』『特級』『最高』『No.1』など、その商品が最高品質であるかのような、品質レベルを誤解させるような表示はしてならない。」
「ペットフードの成分、原材料又は製造方法について、実際のもの又は自己と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認されるおそれがある表示をしてはならない。」
「添加物入りは危ない」「うちの製品のほうが優れている」。
この2つの言い方は、いずれも規約が禁じている領域に入ります。
だからこの記事は、その書き方をしません。
この記事そのものも「表示」に当たる
「それはパッケージの話でしょう」と思われるかもしれません。
違います。
協議会のQ&Aは、「表示」の範囲をかなり広く取っています(出典: 表示に関するQ&A|ペットフード公正取引協議会)。
インターネット上の広告、SNSの投稿、口コミ、メール、アフィリエイト広告。
これらもすべて「表示」に含まれるとされています。
つまり、キャットフードを売っている会社が書いているこの記事も「表示」です。
だから、ここで宣言しておきます。
この記事は、自社の商品を「安全な側」に置く書き方をしません。
科学と制度の説明と、自社商品の事実は、セクションを分けて書きます。
なお、この規約は景品表示法の規定にもとづく公正競争規約です。
会員社だけのものではなく、市場のほとんどがこれに従って表示を作っています。
ペットフードには、機能性表示食品のような制度は存在しません。
では「無添加」ではなく何を見るか — この記事が言えるのは1行だけ
「無添加という語で選ばないほうがいい」と書いた以上、代わりを示す責任があります。
ただし、この記事で言えるのは規約の事実までです。
原材料名は、添加物以外を使用量の多い順に、次に添加物を記載する。
つまり原材料欄は、順番に意味がある表です。
先頭に来ているものが、いちばん多く使われています。
そして添加物は、その後ろにまとめて並びます。
ここから先の読み方は、この記事の範囲を超えます。
原材料表示のどこをどう見るかは 無添加キャットフードの原材料表示の見方|5つのチェックポイント にまとめてあります。
この記事は、体と制度の説明にとどめます。
買う前にラベルのどこを、どの順番で見るかという手順は、子猫のキャットフードの選び方|ラベル6か所の順番にまとめました。
熊野灘のウェットフードは、この話のどこに置けるのか
ここから先は、私たちが作っている商品の話です。
ここまでの科学と制度の説明とは、意図的に切り分けています。
読み飛ばしていただいても、記事の内容は完結しています。
どういう作り方をしているか(事実だけ)
NICO-LS(ニコルス)のお魚ごはんの事実を並べます。
評価ではなく、工程と表示の内容です。
- 三重県熊野灘産の国産天然魚を使用。原材料は「季節のお魚」のみ
- 保存料・着色料・香料・増粘剤は使用していない
- 無加水調理 — 水を加えず、魚自身の水分で炊き上げる
- 加熱加圧調理 — 骨までやわらかく仕上げる
- 水揚げから12時間以内に真空パック(上限としての時間)
- 未開封・常温で12か月
- 製造元は㈱ゲイト(三重県熊野市二木島町530-3)
保存料を使わずに常温で12か月もつのは、密封してから加熱加圧しているからです。
容器の中を無菌に近い状態にして、外から何も入らないようにする。
それが、この形態の製品の日持ちの仕組みです。
ただし、それは珍しいことではない
ここで、自分たちに不利なことを書きます。
この形態の製品が保存料を使わないのは、あたりまえのことです。
先ほど引用した規約のNG集は、まさにこの点を扱っていました。
「缶詰製品やレトルトパウチ製品には通常、保存料は使用されないので、通常使用されていないものについて『不使用』や『無添加』を強調することで、他社の製品よりも優れているかのように消費者に誤認を与える表示はできません。」
— 表示によく見られるNG集|ペットフード公正取引協議会
私たちの商品も、真空パックして加熱加圧するタイプです。
つまりこの条文が想定している側にいます。
だから「保存料不使用だから他より優れている」とは書けませんし、書きません。
書けるのは、使っていないものの列挙までです。
保存料、着色料、香料、増粘剤。
それが差別化になるかどうかは、別の問題だということです。
保存料を使わないということは、管理が買った人の側に移るということ
もうひとつ、書いておかなければならないことがあります。
これは長所とセットの短所です。
保存料を使わない製品は、開封したあとに劣化を止めるものが何もありません。
未開封で12か月もつのは、密封して加熱しているからです。
開封した瞬間に、その前提は消えます。
そこから先は、保存料に頼れない状態での管理になります。
開封後は冷蔵し、置きっぱなしにしないでください。
海外の獣医学センターの資料も、開封した缶詰は冷蔵が必要だとしています(出典: Feeding Your Cat|Cornell Feline Health Center)。
具体的な保存の実務は ウェットフードの保存方法 にまとめています。
つまり、保存料を使わない設計を選ぶということは、管理の責任の一部を買う側に渡すということです。
これは製品の性質であって、良し悪しの話ではありません。
ただ、売る側から先に言っておくべきことだと考えています。
子猫の食事のどこに置くか — そして原材料が特定できないということ
位置づけをはっきりさせます。
成長期に必要な栄養は、成長段階に対応した総合栄養食で満たしてください。
そこは動かさないでいただきたい部分です。
私たちの商品は、季節の天然魚を使ったウェットフードです。
主食の役割を担う設計ではありません。
与える量については、パッケージの給与量表示とかかりつけの獣医師の指示を優先してください。
そして、もうひとつ不利なことを書きます。
原材料が「季節のお魚」であるということは、どの魚が入っているかを特定できないということでもあります。
季節と漁で獲れるものが変わるためです。
すでに特定の魚にアレルギーがあると分かっている猫にとって、これはリスクの側に働きます。
原材料が絞り込めないフードは、その場合に向きません。
該当する猫では、かかりつけの獣医師に相談してから判断してください。
逆に言えば、書ける長所は「原材料の数が少なく、産地と工程がたどれる」ことです。
魚と、どこで獲れてどこで加工されたか。
数えられるだけの情報しか使っていないという透明性が、この製品の性格です。
原材料が何かを自分の目で数えたい方へ。
まるごと仕立ての【小魚】タイプ
三重県熊野灘で獲れた天然魚を、水を加えずに炊き上げたウェットフードです。
製造は三重県熊野市二木島町。産地と加工場所を公開しています。
※成長期の主食としてではなく、成長段階に対応した総合栄養食を土台にしたうえでの選択肢としてご検討ください。
よくある質問
Q1. 子猫には無添加のフードを選んだほうがいいですか
この問いには、制度上の答えがありません。
「無添加」という語に、日本のペットフードの表示制度上の定義がないからです。
同じ「無添加」でも、何を指しているかは商品ごとに違います。
順番としては、まず成長段階に対応した目的表示を確認することになります。
そのうえで原材料欄を読む、という流れです。
詳しくは 無添加キャットフードの落とし穴|総合ガイド をご覧ください。
Q2. 添加物は子猫の体に悪いのですか
日本の省令は、物質ごとに含有量の上限を定めています。
基準内での使用が害になるという根拠は、今回参照した資料からは確認できませんでした。
「添加物だから悪い」という言い方は、この記事ではしません。
一方で、確かめられている構造もあります。
同じ濃度のフードでも、子猫は体重あたりで成猫のおよそ2倍を食べます。
入ってくる量が違う、という点だけは事実として押さえておいてください。
Q3. 猫は本当に人や犬より添加物を分解しにくいのですか
薬物については、はっきり確かめられています。
猫はUGT1A6とUGT1A9を欠いており、肝臓で発現するUGT1Aは2種類だけです。
アセトアミノフェンの半減期は、猫5.0時間・犬1.1時間・ヒト2.6時間です。
ただし、これは薬の話です。
フードに使われる添加物のすべてに同じことが言えるとは限りません。
影響が大きいのは、単純な平面フェノール構造をもつ化合物だとされています。
Q4. プロピレングリコールが入っているフードは避けたほうがいいですか
日本では、その心配は不要です。
省令が「プロピレングリコールは、猫用の販売用ペットフードには用いてはならない」と定めています。
猫用フードには使えません。
犬用には、この禁止規定がありません。
つまり日本の制度は、この物質について犬と猫を分けて扱っています。
猫用フードの原材料欄で、この名前を探す必要はありません。
Q5. 「保存料不使用」のウェットフードは、そうでないものより安全ですか
その比較は成り立ちません。
缶詰やレトルトパウチは、製造工程の性質上もともと保存料を使わないためです。
公正取引協議会は、これを強調して他社より優れているように見せる表示を認めていません。
つまり「保存料不使用」は、ウェットフードでは差別化の材料になりません。
これは自社の製品にも同じく当てはまります。
見るべきは、そこではなく原材料と製法のほうです。
Q6. オーガニックのフードなら添加物の心配はないですか
オーガニックは原材料の生産方法についての概念です。
添加物がゼロであることを意味しません。
また、日本にはペットフードのオーガニック認証制度が存在しません。
3つの言葉の違いは、別の記事で整理しています。
オーガニックと無添加の違い|キャットフードの表示を正しく読む をご覧ください。
Q7. 保存料が入っていないフードは、開封後どうすればいいですか
未開封で日持ちするのは、密封して加熱しているからです。
開封した時点で、その前提はなくなります。
保存料が入っていないぶん、劣化を止めるものは何もありません。
開封後は冷蔵し、置きっぱなしにしないでください。
パッケージの表示は出発点であり、迷うときは獣医師の指示を優先します(参考: Feeding your cat or kitten|International Cat Care)。
まとめ — 3つに整理する
① 猫は、種としてフェノールの処理経路をひとつ欠いている
UGT1A6は擬似遺伝子になっています。子猫でも成猫でも同じです。
② 子猫で違うのは臓器ではなく、体重あたりの摂取量
「子猫の肝臓が未熟だから」は、猫では調査されていません。実験が示したのは摂取構造のほうでした。
③ 「無添加」には定義がなく、強調の仕方に制限がある
レトルト・缶詰では、「保存料不使用」の強調そのものが認められていません。
この記事が渡したかったのは、選ぶべき商品のリストではありません。
どの主張に一次資料があり、どの主張に無いのかという区別です。
「子猫は肝臓が未熟」という説明には、猫のデータがありませんでした。
「子猫は体重あたりで多く食べる」という説明には、実験がありました。
そして「無添加だから安心」という売り方には、規約上の制限がありました。
私たちの商品も、その条文が想定している側にいます。
だからこの記事では、その言葉で商品を勧めることをしていません。
NICO-LS(ニコルス)のお魚ごはん
三重県熊野灘で獲れた国産天然魚を、水揚げから12時間以内に真空パック。
水を加えない無加水調理と加熱加圧調理で仕上げています。
製造は三重県熊野市二木島町。原材料は「季節のお魚」のみで、産地と工程を公開しています。
初回限定おためしセット(¥980) — 切り身と小魚の2種を少量から試せます。
※主食は成長段階に対応した総合栄養食で組んでください。そのうえで一皿を試す選択肢としてご検討ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としています。子猫の体調や食事に不安がある場合は、かかりつけの動物病院にご相談ください。
監修:NICO-LS開発チーム